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執筆日時:2019年1月3日 17時00分
米国雇用統計の予想と戦略


1月4日(金)22時30分は米雇用統計。米雇用統計と言えば、FX投資家ならば誰でも知っている月に一度のビッグイベントです。米国の金融政策が分岐点にさしかかっているだけに、発表前後には為替相場が大きく動く可能性が高いです。また2019年最初の重要指標であり、今後のドルの方向性を見通す意味で市場参加者の関心も高まっているでしょう。




前回(12月7日発表)のおさらい


非農業者部門雇用者数が15.5万人増と予想の20.0万人増を大きく下回る結果となりました。また10月分の結果が23.7万人増へ下方修正されたことにより直近三か月平均が17万人増と悪化しています。注目されていた平均賃金(前月比)は0.2%増で市場予想には届かなかったものの、平均時給(前年比)については前月同様約10年ぶりの高水準である3.1%の伸びを示しました。失業率については前月に引き続き3.7%と歴史的低水準を維持しています。

非農業部門雇用者数の増加が鈍化していることを受け、指標発表直後にドル円は30銭ほど下落しましたが、ほどなく値幅を取り戻しており値動きは大きいものではありませんでした。概ね市場予想通りの結果となったことで、雇用統計への反応は長く続かず、113円で頭を抑えられて以後は方向感のない値動きとなりました。
[前回発表前後の米ドル/円の動き]
出所:上田ハーロー, Bloomberg
今回(1月4日発表)の見どころ


■雇用者数の伸びが鈍化しても悲観的になる必要はないか
前回11月雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想に届かず、雇用者数の伸びが鈍化していました。ただ10月雇用統計がハリケーン被害からの復興による一時的な押し上げが含まれているとの指摘もあり、11月雇用統計の減速結果だけを見て雇用の伸びに陰りが出てきたとの判断は早計で、失業率が約50年ぶりの低水準を示し完全雇用状態が継続され、労働参加率もほぼ一定で低下をしていないことを考えると、米国の労働市場は依然として堅調さを保っているとの見方もできます。米年末商戦が好調の裏返しで雇用が順調に拡大していることの見方もでき、市場予想に近い数字が出るものと予想します。もし弱めの数字となっても完全雇用状態のため、ある程度の減少は想定の範囲内と考えられ、過度に悲観的になる必要はなさそうです。


■3ヶ月連続で平均時給(前年比)が3%台を維持できるか?
12月雇用統計では平均時給(前年比)が先月結果から減速するものの3.0%増の予想と、大台の3%超の水準を維持する予想となっています。3ヶ月連続で平均時給(前年比)が3%台となるのは2009年以来となり今後の賃金上昇圧力の増加も意識されることとなりそうです。また3%程度の増加であればインフレを加速しすぎるという懸念も少なくFRBが掲げる「緩やかな利上げ」を正当化することと考えられ、今回の平均時給(前年比)が3%台を維持できるかどうか注目でしょう。市場予想に沿う結果が出れば安心感が生まれそうですが、2019年の金利見通しを押し上げるほどの影響力はなさそうで、発表後ドル買い圧力が高まったとしても長くは続かないものと予想します。
◆雇用統計の実績と予想
年月 2017
10 11 12
実績
非農業雇用者数変化(万人) 22.7 23.5  9.8 20.7 14.5 21.0 13.8 16.9 ▲3.3 26.1 22.8 14.8
失業率(%) 4.8 4.7 4.5 4.4 4.3 4.3 4.3 4.4 4.2 4.1 4.1 4.1
平均時給[前月比](%) 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.5 0.2 0.5 0.0 0.2 0.3
労働参加率(%) 62.9 63.0 63.0 62.9 62.7 62.8 62.9 62.9 63.1 62.7 62.7 62.7

年月 2018
10 11 12
実績 予想
非農業雇用者数変化(万人) 20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 20.1 13.4 25.0 15.5 17.7
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.7 3.7
平均時給[前月比](%) 0.3 0.1 0.3 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3 0.2 0.2 0.3
労働参加率(%) 62.7 63.0 62.9 62.8 62.7 62.9 62.9 62.7 62.7 62.9 62.9 -
今回(1月4日発表)の戦略



【要点】市場に悲観ムードが漂っており、戻り売りを検討したい
◆雇用統計の結果
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※表の見方
結果:非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったときは 〇、下回った時は ✖
当日:日足でみて、上昇か下落

先月行われたFOMCでは2019年の利上げ回数の見通しが年3回から年2回へ下方修正されました。声明では漸進的な利上げを見込んでいながらも経済データ次第では利上げの停止も視野に入っていることが示され、米経済の先行きや利上げに対する慎重な姿勢が伺えます。執筆時点(1月3日現在)で市場の2019年末の政策金利見通しは現状維持(2.5%)が7割を超えており、利上げへの期待感は膨らんでいない状況です。そうした中、米長期金利も低下の一途をたどっており約1年ぶりの水準である2.6%台まで低下しドル相場の重石となっています。また昨年は米株式市場の下落に端を発した世界的なリスクオフムードの高まりから悲観的なムードが漂った状態で年を越すこととなりました。2日の年明けの欧米株式市場は全般軟調推移となっており、株安の連鎖が続いているようです。3日早朝には米アップルの業績下方修正などを背景にリスク回避の円買いが主導し、薄商いの中フラッシュ・クラッシュ的な値動きとなり一時105円台まで円高が進みました。急激な円高進行は雇用統計当日の4日の大発会を迎える日経平均株価への悪影響も出ると考えられ、株価が下落することとなれば一層リスクオフムードが高まりそうで、雇用統計の結果の受け止め方にも悲観色が混じることになりそうです。

他方、米年末商戦の数字に現れているように米個人消費については依然として好調で、その背景となる雇用市場も堅調であると推測されますが、足下の相場状況は不確定要因が多く楽観的なムードになりにくいものと考えられます。雇用統計において好結果が出れば下値を固める動きに繋がると思われますが、上値を伸ばすほどの力はないものと予想します。株価や米長期金利見合いの状況が雇用統計の結果のみで変化するとは考えにくく、戻り売りを基本戦略にして相場に対峙したいところです。




【今後の米国雇用統計発表予定】

・2019年  1月4日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  2月1日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  3月8日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  4月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  5月3日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  6月7日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  7月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  8月2日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  9月6日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年10月4日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年11月1日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年12月6日(金)22時30分発表(標準時間)

日時は日本時間です。経済指標発表日時は予告なく変更される場合があります。





【バックナンバー】

【2018年12月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年11月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年10月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  9月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  8月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  7月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  6月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  5月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  4月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  3月9日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  2月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  1月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年12月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年11月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略



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