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執筆日時:2019年8月1日 16時30分
米国雇用統計の予想と戦略


8月2日(金)21時30分は米雇用統計。昨日のFOMCでは政策金利の0.25%の引下げが決定され、今後の各種米経済指標で次の利下げに関するヒントを探すこととなります。利下げ決定直後であるため雇用統計の今すぐに市場の見通しに影響を与えるものではないかもしれませんが、今後を見通す上で最初の重要指標となるため注目しておく必要があります。




前回(7月5日発表)のおさらい


非農業部門雇用者数は市場予想(16.0万人)を上回る22.4万人と強い結果となりました。しかし失業率は前月結果から減速し、平均時給(前月比・前年比)はともに市場予想通りで伸びの見られない結果となりました。雇用者数が回復した以外は冴えない印象の結果でしたが、5月雇用統計で大幅に減速した雇用者数が持ち直したことが好感される格好となりました。発表前に108円台前半で推移していたドル円は、雇用統計を受け108.40円台まで上伸し、翌週の前半での108円台半ばでの底堅い動きの一因となりました。
[前回発表前後の米ドル/円の動き]
出所:上田ハーロー, Bloomberg
今回(8月2日発表)の見どころ


■市場予想並みの結果となればドル円の下支えに・・・?
6月雇用統計では不安視されていた雇用者数が大幅回復となりました。内訳では民間サービス業が特に伸びを示しており、5月の伸びの2倍程度の15万人強へと改善しています。民間サービス部門は内需に関係が深く、雇用者数の増加はアメリカ経済を支える個人消費に対するポジティブな結果と言えそうです。しかしその一方で小売業は低調な状態が続き、5ヶ月連続でマイナス成長となっており、気がかりな部分も残されています。とはいえ全体で見れば労働市場は健全であるといえる状態で、こうした状況が続くのであれば利下げに前のめりになる必要は薄いものと考えられます。

注意をしておきたい部分は先月の修正値でしょう。雇用統計には集計が間に合わず予測部分が含まれており、正確性の面でいえば修正値が実体を表していると言えます。その程度にもよりますが、先月に大幅回復となった結果が下方修正されることとなると実際の雇用市場が失速しはじめているのではないか、との疑念も燻りそうで米ドルの下押し圧力になるかもしれません。20万人を割り込むような修正結果が出る場合にはドル売りに警戒をする必要がありそうです。

今回の利下げは0.25%と市場予想に沿った内容となり、パウエルFRB議長は一回限りの利下げではないとしながらも、利下げ局面の開始ではないと牽制しています。そのため今後の利下げに関しては米経済データを確認しながら探っていくこととなります。雇用統計が最初の重要指標となりますが、利下げ決定直後と言うこともあり、市場予想から大きな下振れがなければ、利下げへの思惑が大きく膨らむことにはならないものと考えます。堅調な結果となれば109円台を回復したドル円のサポートとなるのではないでしょうか。
◆雇用統計の実績と予想
年月 2018
10 11 12
実績
非農業雇用者数変化(万人) 20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 20.1 13.4 25.0 15.5 31.2
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.7 3.9
平均時給[前月比](%) 0.3 0.1 0.3 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3 0.2 0.2 0.4
労働参加率(%) 62.7 63.0 62.9 62.8 62.7 62.9 62.9 62.7 62.7 62.9 62.9 63.1

年月 2019
10 11 12

実績 予想
非農業雇用者数変化(万人) 30.4 2 19.6 26.3 7.5 22.4 17.0    
失業率(%) 4.0 3.8 3.8 3.6 3.6 3.7 3.7      
平均時給[前月比](%) 0.1 0.4 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2
労働参加率(%) 63.2 63.2 63.0 62.8 62.8 62.9 -
今回(8月2日発表)の戦略



【要点】109.60円が重要な水準に!?その水準の値動きを見極めたい。
◆雇用統計の結果
※表の見方
結果:非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったときは 〇、下回った時は ✖
当日:日足でみて、上昇か下落
前回の雇用統計では108円台をしっかり回復し翌週の109円台を伺う動きのきっかけとなりましたが、109円台回復は叶わず、その後は7月FOMCでの大幅利下げ観測がドル円を押し下げることとなりました。ただ昨日のFOMCでの利下げ決定後からドル買いが強まっており109円台前半まで円安ドル高が進行しています。足元の相場が上向きになったこともあり、今回の雇用統計においては市場予想から大幅な下振れがなればドル円の下支えになりそうで、下値拡大への警戒感は薄れることとなりそうです。とは言え利下げを行っている以上、ドル高が大きく進む環境とも言いづらく雇用統計の結果だけで110円を回復するような値動きにはなりにくいものと思われます。109円台半ばから後半にかけては戻り売り圧力も相応に強そうで一気に上抜けるのは難しそうです。

特に109.60円付近には5月31日高値や日足一目均衡表・雲上限、週足・雲下限や週足・基準線など多くの上値抵抗が集まっており、この水準を抜けることができるか否かが問題になりそうです。ただ、同水準を超えてNYクローズを迎えると、日足で三役好転が成立することとなるため雇用統計後に上昇が一服しても、来週からの続伸に期待が残されることとなります。一方で、109.60円付近で頭を抑えられることとなれば上値の重さが意識されることとなり、一旦は109円台前半までの弱含みも予想されます。109.60円を超えても上昇に勢いが見られなければ110円をバックに戻り売りも一考でしょう。109.60円付近を境目に、売りと買いの戦術を分けて考える必要がありそうです。



【今後の米国雇用統計発表予定】
  
・2019年  8月2日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  9月6日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年10月4日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年11月1日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年12月6日(金)22時30分発表(標準時間)

日時は日本時間です。経済指標発表日時は予告なく変更される場合があります。





【バックナンバー】

【2019年  7月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  6月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  5月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  4月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  3月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  2月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  1月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年12月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年11月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年10月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  9月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  8月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  7月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  6月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  5月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  4月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  3月9日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  2月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  1月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年12月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年11月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略



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