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執筆日時:2019年3月7日 12時00分
米国雇用統計の予想と戦略


3月8日(金)22時30分は米雇用統計。米雇用統計と言えば、FX投資家ならば誰でも知っている月に一度のビッグイベントです。ここ最近は雇用統計発表後の動きが緩慢な事が多いですが、米国の利上げサイクル停止も意識される中、今後の金融政策をうらなう上で経済データの強弱については注目する必要があります。ドル円が昨年12月以来の高値水準に上昇した今、雇用統計を起爆剤として上昇するかどうかに注目が集まります。




前回(2月1日発表)のおさらい


非農業部門雇用者数は、市場予想(16.0万人)を大幅に上回る30.4万人という好結果となりポジティブサプライズとなりました。前回1月雇用統計の雇用者数が22.2万人(-9万人)に下方修正されているものの、直近3ヶ月平均は23万人程度と強い水準を維持しています。雇用者数が強かったものの、平均時給(前月比)は予想を下回る0.1%という結果となりました。ただ平均時給(前年比)では3%台の伸び率を維持しており、悲観的な内容とは捉えられなかったようです。失業率は4.0%と悪化していましたが、同時に労働参加率が先月に続き上昇していることが好感され、さほど悪材料として捉えられることはありませんでした。発表直後は雇用者数の大幅増がポジティブサプライズとなり108円代後半から109円台に上昇しました。反応一巡後に108円台に押し戻される場面も見られましたが、その後のNY時間にはしっかりと109円台を回復し、その後109円を割れることなく2月相場はドルの上昇が続きました。
[前回発表前後の米ドル/円の動き]
出所:上田ハーロー, Bloomberg
今回(3月8日発表)の見どころ


■雇用者数は反動減となるためネガティブには捉えられないか
今回は先月が予想以上の好結果となったこともあり、前月からは落ち着いた数字である18.5万人増が予想されています。直近で発表されたフィラデルフィア連銀製造業景気指数や製造業PMI、ISM製造業景気指数など、製造業に関わる2月の米経済指標にはいずれも弱さが見られており、製造業分野での就業者の伸びに対し懸念が燻ります。その一方で前回の雇用統計で就業者数が伸びていた小売業やレジャー・サービス産業に関わる、ISM非製造業景気指数やサービス部門PMIなどの経済指標は強めの結果が続き、米景気の底堅さが示されています。仮に製造業での就業者数が落ち込んだとしても、個人消費関連の分野での就業者の伸びに期待でき、全体では市場予想並の数字に落ち着くものと予想します。


■平均時給は前年比で堅調さを保っているかどうかに注目
1月平均時給(前月比)は市場予想を下回る伸び率となり一見すると期待はずれの結果となりました。しかしデータを確認すると昨年12月の賃金の実数値が27.48ドルから27.53ドルに上方修正されています。そのため1月の数値(27.56ドル)に対して伸び率が抑えられた格好で、上方修正前の数値(27.48ドル)で考えると約0.3%の上昇となることから一概に弱い結果とも言えないでしょう。前回同様に今年1月分の結果が修正される可能性もあり、平均時給(前月比)の変化率のみでは結果の強弱を掴みにくいかもしれません。そのため、平均時給(前年比)で先月と同等の伸び率を維持できるかどうかに注目をしたいです。昨年2月の実数値は26.75ドルであり、今回の市場予想(3.3%)以下の数値となる前年比3.0%増でも27.55ドルと1月の実数値と同等で、前月から時給の上昇がなくとも平均時給(前年比)で3%台の上昇を維持できることとなります。また過去5年間で平均時給(前月比)がマイナスとなったことはわずか2回しかなく、少なくとも前月と同等の水準は維持されそうです。米労働市場で労働受給が逼迫していることを考えると、市場予想通りの結果にも期待できるのではないでしょうか。
◆雇用統計の実績と予想
年月 2018
10 11 12
実績
非農業雇用者数変化(万人) 20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 20.1 13.4 25.0 15.5 31.2
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.7 3.9
平均時給[前月比](%) 0.3 0.1 0.3 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3 0.2 0.2 0.4
労働参加率(%) 62.7 63.0 62.9 62.8 62.7 62.9 62.9 62.7 62.7 62.9 62.9 63.1

年月 2019
10 11 12
実績 予想
非農業雇用者数変化(万人) 30.4 18.5              
失業率(%) 4.0 3.9                     
平均時給[前月比](%) 0.1 0.3
労働参加率(%) 63.2 -
今回(3月8日発表)の戦略



【要点】112円前半の上値抵抗を基準に柔軟な対応をしたい
◆雇用統計の結果
※表の見方
結果:非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったときは 〇、下回った時は ✖
当日:日足でみて、上昇か下落

年明けから米国の金融引き締めに対するハト派的な姿勢への転換はドルの重石ではあるものの、株式市場には好意的に受け取られており2月の米ダウ平均株価は上昇を続け、ドル円相場の下支えとなりました。加えてこのところ広がっている米中通商問題に対する楽観的な見方でリスクオン傾向が強まり、ドル円は昨年12月以来の112円台まで上昇しています。ただ昨年12月に世界的な株安による円急騰となった際に下抜けるまで下値を支えていた水準である112.20-30円付近を前に足踏み状態が続いています。

今回の雇用統計では、雇用者数が前回の反動で減少見込みとなっている以外は総じて堅調な数値が予想されています。市場予想通りの結果となれば米国のファンダメンタルズの強さを改めて意識させることとなり素直にドル買いで反応をすると予想します。ただ、トランプ大統領に関するスキャンダルの再燃や印パ紛争、ベネズエラの政情不安に絡んでの米ロの対立など足許には不安材料も散見され、強い結果のみで諸手を挙げてドルを買い進むには注意が必要でしょう。前述の水準である112円台前半をしっかりと超えないことにはドルの上昇に頭打ち感が出てくるため、戻り売り圧力も大きくなるものと考えます。まずはその水準をバックに売り目線で相場と対峙し、高値を更新する場合には追随買いに切り替えるといった臨機応変な対応を意識しておきたいところです。




【今後の米国雇用統計発表予定】
 
・2019年  3月8日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  4月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  5月3日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  6月7日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  7月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  8月2日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  9月6日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年10月4日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年11月1日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年12月6日(金)22時30分発表(標準時間)

日時は日本時間です。経済指標発表日時は予告なく変更される場合があります。





【バックナンバー】

【2019年  2月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  1月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年12月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年11月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年10月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  9月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  8月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  7月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  6月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  5月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  4月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  3月9日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  2月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  1月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年12月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年11月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略



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