2018政治米金利動向が相場を動かしました。政治では、トランプ大統領が貿易交渉で中国に圧力をかけ、制裁関税を相次いで実施したこと、トランプ米大統領の事実上の信任投票となる米中間選挙で、下院は民主党が過半数を獲得したことをはじめ、イタリアではポピュリズム政党の「同盟」と「五つ星運動」が連立政権を樹立、EUの規律を逸脱した2019年予算案を策定、年後半には欧州委員会との間で駆け引きが繰り広げられました。更に、ドイツでは、バイエルン州などの州議会選挙でキリスト教民主/社会同盟が大敗、メルケル首相が首相にはとどまるものの、キリスト教民主同盟(CDU)の党首を辞任するなど、一時混乱しました。その結果、欧州通貨は下落しています。通商問題では中国の景気減速が懸念されたことなどで豪ドルやNZドルなど資源国通貨も売られました。
金融政策で米利上げが既定路線となり、金利先高観が強まった春先に、米株価が大幅な調整をとなり、リスク回避から円が買われる展開となりました。その後、株価は持ち直し、円も売り戻されましたが、年後半には米利上げ休止観測が浮上、市場予想にかかわらず、米FOMCでは利上げを実施(市場予想通り)、声明では利上げの継続、ドットチャートでは2019年に2回の利上げを示したことで、クリスマス休暇直前に、株価が急落、急反発する荒っぽい動きとなっています。こうした中、当社メンバーは2019年の予想レンジと、注目ポイントをどのように見ているでしょうか。

サマリー及び見通しはマンスリーレポートをご参照ください。
ドル/円 (USD/JPY)
後から、円高を予想するメンバーが多くいましたが、その傾向は2019年も同じようです。上下院で議会がねじれること、米予算については下院に先議権があることや、審議したい法案の優先権を民主党が握ることになるため、トランプ米大統領は議会と調和を図らない限り、大統領権限で実施できる貿易関連、外交関連、国防関連の政策を行うことにならざるを得ず、これらの深化は諸外国と軋轢を生み、約10年にわたり拡大を続けてきた米経済が年後半にはスローダウンから減速に向かい、米利上げ休などに繋がることで、ドル安の予想が多くなっています。他方で日本を見ますと、日米貿易交渉開始、4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙があります。貿易交渉では農業分野の市場開放と関税引き下げ(または撤廃)、為替を不当に円安に誘導しない為替条項などが協議される予定です。これらも円高のリスクとして認識されています。
ユーロ/円 (EUR/JPY)
EUはポピュリズムの台頭との戦いになりそうで、5月の欧州議会選挙が将来を見るうえでのカギとなりそうです。フランスではマクロン大統領が構造改革に失敗、財政規律ではEUがイタリアに妥協せざるを得ない状況を招きました。ポピュリズムが欧州議会で多数派を占めれば、財政のタガが緩むことも考えられ、最悪の場合には欧州の分裂(現実にはありそうもないが)など意識されるかもしれません。また、域内の成長が鈍化していることで、金融正常化に舵を切っている欧州中央銀行(ECB )が政策変更に追い込まれる可能性もあります。ドルの対局としてはユーロ高ですが、当社ではユーロ安予想がわずかに上回っています。
ポンド/円 (GBP/JPY)
メイ英首相「離脱協定案」をEUと合意しましたが、アイルランドとの国境問題を先送りする内容で、離脱強硬派、離脱反対派双方にとって合意できる内容にはならず、議会での否決の可能性が高いとして、採決は来年1月14日以降に持ち越されました。与党の保守党ではメイ首相に対する信任投票が実施され、メイ英首相は信任されたものの、このままでは「合意なき離脱」が現実味を帯び、経済などへの不透明感が高まっています。一部楽観的な見方や瞬間風速的な下落予想もありますが、当社ではポンド安予想がやや勝っています。
豪ドル/円 (AUD/JPY)
米中間選挙で米下院がねじれたことから、2020年の大統領選挙に向けて、トランプ米大統領は米中、米日など貿易交渉に力を入れざるを得ず、豪にとって最大の資源輸出国の中国の景気減速が視野に入っていることに加え、世界第1位と2位の経済大国の貿易摩擦のため、世界経済の減速が予想されていることで、豪ドルには下落の見通しが強くなっています。ただ、中国が米国に譲歩をしていること、製造業などで中国からアジアの他国へのシフトの動きが出ていることで、年後半には上向いてくる可能性があります。当社では豪ドル高を見込むメンバーが多くなっています。
NZドル/円 (NZD/JPY)
NZ準備銀行(RBNZ)は2019年から2020年にかけて現状の水準(1.75%)を維持すること、現状のデータでは2020年第3四半期に利上げを予想しています。政策的にはハト派的な見解ながら、乳製品を含む必需品を中国などに輸出していることで、世界的な景気減速となった場合でも、NZドルへの影響は軽微にとどまるとの見方もあります。ただ、やはり米中貿易摩擦から中国の景気減速となると、短期的にしろ影響は顕在化しそうです。当社ではNZドルの上昇予想がやや多数です。
ユーロ/ドル (EUR/USD)
欧州中央銀行(ECB)は12月で資産購入を終了、欧州の景気が減速傾向にある中で、2019年秋以降の利上げ見通しは維持しました。金融正常化に向けて進んでいくと思われるものの、最大のリスクは5月の欧州議会選挙となります。また、欧州委員会がイタリアとの間で2019年の修正予算(GDP比2.04%)で合意したことから、2020年の予算で、イタリアやスペイン、フランスなどがEUの規律を守れない予算案を提出することも考えられます。また、主軸国ではないものの、いくつかの国で選挙を抱えていることやドイツの政局不安定からの選挙リスクもあります。ただ、当社ではドルの下落予想が高いため、相対的にユーロ高をするメンバーが多くなっています。
ポンド/ドル (GBP/USD)
3月29日午後11時(グリニッジ標準時)に離脱期限が迫る中、EUと合意した「離脱協定案」の英議会の承認めどはたっていません。「合意での離脱」か「合意なき離脱」が不透明なで、英政府の成長見通しのシミュレーションでは、合意での離脱の場合は▲3.9%合意なき離脱の場合は▲9.3%といずれも悪化ですが、合意がなければ自動車や化学製品部門が大きな打撃を受ける可能性が高まります。ただし、移行期間は関税同盟に残るため、英景気悪化は緩やか勝つ先送りとなり、米ドルの下落予想が強い中で、当社ではポンドの上昇予想が多い状態になっています。
豪ドル/米ドル (AUD/USD)
米中の貿易摩擦は、米中の覇権争いとなっているため、90日間(3月上旬)で知的財産権などで、米国が納得できる回答ができるか不透明な状況です。他方で、中国は米国産大豆などの穀物を購入(対米黒字削減を目的)、制裁に対する報復として実施している米自動車に対する関税を引き下げる譲歩を行っています。豪では来年5月に総選挙が予定されていますが、政権党の国民党と自由党の連合は過半数割れで、世論調査でも労働党が支持率で上回っています。政権交代は市場も予想(織り込んで)しており、選挙での波乱はなさそうです。好調な輸出や所得税の増加に伴い、財政の黒字化が見えていることで、当社では豪ドルの上昇予想が多い状況です。
NZドル/米ドル (NZD/USD)
年前半にNZ準備銀行(RBNZ)は利上げ見通しを先送りしたことで、下落が継続しましたが、終盤にかけては、豪ドルなどの資源国通貨が下げ足を速める中で、NZドルの下落は比較的抑えられています。輸出品は必需品が多いこと、RBNZが住宅融資への規制を一部緩和する方向を示していることなどで、NZの景気が下支えされるとの思惑もあるようです。選挙など政治的な予定はなく、変化に乏しいながら政治的には安定しそうです。中国の景気減速傾向は懸念要因ですが、当社ではNZドルの上昇予想が多くなっています。
まとめ
亥(イノシシ)年の格言は「固まる」です。過去の亥年は、為替市場を含む金融市場でも話題が多い年となっています。1971年は8月にニクソン・ショック、為替ではスミソニアン合意で1ドル=308円へ円が切り上げ、変動幅も2.25%に拡大されました。次の1983年はこれといった話題もなく、日本のバブル崩壊の入り口となった程度です。1995年は阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件と大きな災害、事件が起こり、4月には1ドル=79.75円の当時最高値を記録した年です。2007年にはサブプライム・ショックからリーマン・ショックへと続く発端となったBNBパリバ傘下の3つのファンドが凍結された年でもあります。

ドル円相場1971年には357.73円から315.01円へと42.72円の円高が進み、年間の変動幅も43.38円となっています。1983年は232.00円から231.70円とほとんど変わりません(わずかに円高でしたが、変動は幅は20.3円、1995年は99.68円から103.52円へと唯一円安となりました(変動幅は25円)、2007年は119.04円から117.75円へ7.29円の円高となり、変動は幅16.91円です。2018年は年間の変動幅が9.91円にとどまっていますので、亥の「猪突猛進」イメージで相場が一方方向に動くかもしれません。
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 (訳:鏑木高明氏、林知久氏)


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