11米中間選挙英とEUの離脱交渉が大詰めを迎えることで波乱含みが予想されていましたが、蓋を開けてみると、米中間選挙では、各メディアの予想通り、上院を共和党、下院を民主党が制しました。議会がねじれとなりましたが、市場は、トランプ米大統領の行き過ぎた通商政策への緩和期待が先行し、ねじれの負の側面はほとんど材料になりませんでした。ただ、アップルが2018年モデルのiPhoneの販売不調から、生産の減少を発表したことで、ハイテク関連の株価が下落、リスク回避の流れの中で、ドル/円は112円台前半まで下落する場面がありました。しかし、この水準では本邦勢などのドル買い意欲が強く、113円台へ戻し、狭いレンジの動きとなっています。欧州通貨が弱含もの中、目立ったのは、豪ドルやNZドルなどの資源国通貨が買われました。主な要因として、米中貿易摩擦への緩和期待が挙げられます。
12月はクリスマス、年末を控え、経済指標もいつもの月より前倒しで発表されます。そのため、18-19日の米公開市場委員会(FOMC)が終わると、海外勢はクリスマス休暇に入り、市場の流動性が低下することが予想されます。当社メンバーは12月の月間レンジと、注目ポイントをどのように見ているでしょうか。

サマリー及び見通しはマンスリーレポートをご参照ください。
ドル/円 (USD/JPY)
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米中間選挙では上院(共和党過半数)と下院(民主党過半数)ねじれとなりましたが、メディアの事前報道もあり、為替市場での大きな乱高下はありませんでした。むしろ、アップルの生産調整による株価の下落がリスク回避志向に繋がり、やや円高気味になりました、113円台ミドル付近のこの水準で終了となると、値幅としては1.9円の非常に狭いレンジに留まりました。11月28日の講演で、パウエル米FRB議長は「金利は中立レンジを若干下回る」と発言、米の利上げサイクル休止の観測が出だしている中で、12月は米公開市場委員会(FOMC)が18-19日に予定されています。12月の利上げまでは市場は織り込んでいますが、2019年早々に休止になるような声明や、ドットチャート、パウエル米FRB議長の示唆があると、ドル売りに繋がる可能性大となります。当社では全員が前月に続き円高を予想しています。
ユーロ/円 (EUR/JPY)
欧州委員会はイタリアが予算の修正に応じなかったことで、12月4日(予定)にEUは経済金融委員会(EFC)を通じて意見表明を行う予定となっています(ここで意見表明をしなければ、2019年1月下旬の見込み)。ここで、欧州委員会が「過剰な赤字手続き(EDP)」を勧告、制裁金(GDPの0.2%=34億ユーロ)を課す可能性があります。制裁金は供託の形で留保されますが、イタリアが是正措置を取らければ没収され、制裁金の率も引き上げられることになります。イタリアが反発することは必至で、クリスマス休暇前に決着がつかなければ2019年に持ち越すことになり、規律違反のまま時間が経過すると、欧州の成長が鈍化してきているため、次年以降に第2、第3のイタリアが出てきてもおかしくはありません。当社では円高が多数を占め、5円程度の変動予想が多いようです。
ポンド/円 (GBP/JPY)
EU首脳は25日の臨時会議で英との間の離脱協定案に合意、EU加盟国と、英国の議会の承認が終わると、正式合意となります。ただ、英議会では、メイ英首相に閣外協力をしているアイルランドの民主統一党(DUP)が、一貫してメイ首相の合意案に反対する意向を示しており、僅差の議会の中では、承認されない可能性があります。英政府が試算した成長見通しでは、合意での離脱の場合はGDPが▼3.9%、合意なき離脱の場合は同▼9.3%といずれも悪化となっています。議会での評決は今月中を予定していますが、市場は承認されるとの楽観視がやや多いようですので、サプライズが起こりやすい英国という特質には注意が必要です。当社では円高が多いですが、英居住経験のあるM氏は大きな変動を予想しています。
豪ドル/円 (AUD/JPY)
米中貿易摩擦の緩和期待やショート(売り)ポジションが溜まっていたことへの反動もあり豪ドルは反発、堅調地合いとなりました。一方で、モリソン政権は25日に実施されたビクトリア州(VIC)の議会選挙では、モリソン首相の国民党・自由党連合が改選前議席を維持できず、敗北したことでレームダック状態に陥りつつあります。こうした中、来年5月の総選挙に合わせてモリソン首相は100億豪ドル相当の所得税減税の実施を検討していると地元紙が報じています。足許では物価の強い伸びは見られないことで、豪準備銀行(RBA)は利上げ方向を示すも、利上げは急がない意向を示していますので、このトレンドがどこまで続くかは疑問の残るところです。当社では豪ドル高の予想がやや上回っています。
NZドル/円 (NZD/JPY)
NZ準備銀行(RBNZ)は11月8日の理事会で、政策金利を現行の1.75%に据え置きましたが、声明では利上げ時期を「2020年第3四半期」としました。9月の理事会では「19年いっぱい、20年にかけて1.75%と予想」などとしていた内容から、少し前倒しとなったことを市場は好感した模様です。また、米中貿易摩擦緩和期待もNZ度をを押し上げています。12月は金融政策の発表もなく、材料が限られることで、米中貿易摩擦の動向と、中国の貿易統計が材料となりそうです。後者は、需要が先食いされているとみられるため、悪化する可能性が高く、NZドルは下落となると、市場が小さい(流動性が低い)ため下げが加速するかもしれません。当社ではNZドル高予想がやや勝っています。
ユーロ/ドル (EUR/USD)
複数ECB関係者などが、ユーロ圏の成長の下振れを予想する発言を足許で行っています。米の一国主義の姿勢が強くなっていることや自動車関税引き上げによる欧州車の米輸出の減少(ドイツ経済の悪化)などが予想されるためと思われます。ドラギECB総裁は「最近の経済指標は予想を下回る」「大規模な金融政策の緩和が依然必要」などと正常化へ舵を切っていた金融政策を修正してきている感があります。くすぶり続けるイタリアの予算案とともに、ユーロ売りに材料となる可能性があります。当社ではユーロの下落予想が多いものの、1.10ドルを割り込む予想は1名だけです。
ポンド/ドル (GBP/USD)
ブレグジットの協定案はEU首脳会議で承認され、残るは英議会での承認となります。カーニー英中銀(BoE)総裁は英中銀(BoE)は「合意あり」でも「合意なし」でも準備はできていると発言、市場に一定の安心感は示しました。議会が離脱協議案を承認したとしても、アイルランドとの国境管理の問題が先送りされているだけに、離脱の2019年3月29日を待たずして、先取りする形で移行期間に入る前に、新たな火種が生まれる可能性があります。英議会が最大の山場となりますが、承認されないほうがサプライズとしてのインパクトは大きいものと予想されます。当社ではポンドの下落予想が多く、ポンド円同様にM氏が大きな変動を予想してます。
豪ドル/米ドル (AUD/USD)
本年1月から長期下落トレンドが10月下旬に0.7196ドルをつけて反発しました。市場の関心は豪の政治や経済というよりも、米貿易摩擦が緩和となるかにあります。市場は米中首脳会談によって、対立姿勢が緩和されるとの期待感を持っているようですので、米側が提示している2000億ドル相当の中国製品の関税引き上げ(10% → 25%)の先送りや中国が米国の貿易赤字削減のために、天然ガスなどを購入するといったオプションがいくつか考えられますが、根本的な解決に至るには時間がかかりそうです。チャートでは、下落したときにしっかりと押し目を作って右上がりのトレンドを維持できるかでしょうか。当社では豪ドルの上昇予想がほとんどで、0.75ドル付近までを見込んでいるようです。
NZドル/米ドル (NZD/USD)
NZ準備銀行(RBNZ)は11月の理事会で、経済指標次第としながらも、2020年第3四半期に利上げを行う可能性を示唆しました。NZドルは10月8日の0.6422ドルで底打ちし、上昇トレンドに変化しているようです。また、NZ準備銀行は来年1月から銀行に対する住宅融資規制の緩和を発表したことで、低金利が続く中で住宅関連の経済指標を押し上げる可能性もあります。米中貿易摩擦が緩和に向かえば、NZドルの上昇も継続しそうです。ただ、米中貿易交渉は一筋縄ではいかないことが予想されますので、更なる上昇に繋がるかは今後の経済指標次第となりそうです。当社ではNZドルの上昇予想が大半を占めています。
まとめ
12月は市場参加者にとって1年を振り返る時期にあたります。また、新し年に向けて多くの見通しなどが発表される時期でもあります。クリスマス休暇前に積極的なポジションは構築されにくく、ポジション調整が主体の取引となることが予想されますので、実質の営業日の約3週間で、ドル/円が115円に乗せなければ年間を通じて非常に変動が小さい年となり、それも2年連続となります。一方で、何かと話題の多い欧州は、イタリアの予算案は解決しておらず、英国も離脱協定の英議会通過(承認)という最大の山場を迎えることになります。市場の流動性が低下することは避けられませんので、突発的な動きには、材料が伴っていないかの確認も重要となってきます。

今月の相場格言は迷わば休むべし、相場は常にあり、決すれば進むべし、機は瞬間に去るです。今年は政治主導の相場の色彩が強く出ました。トランプ米大統領の政策はドル高や米金利高に繋がるものでしたが、当のトランプ米大統領はドル高を牽制したり、パウエル米FRB議長を非難したりと、力業で市場に対峙しようとしていた印象があります。不透明な中、判断に迷うことは多いですが、迷ったときは休むのが最善の方法で、決めたらすぐ実行すべきというのがこの格言です。更にタイミングは一瞬というのが含蓄が深いですね。
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