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執筆日時:2018年12月6日 16時00分
米国雇用統計の予想と戦略


12月7日(金)22時30分は米雇用統計。米国が標準時間になっていますので、時間にご注意ください。米雇用統計と言えば、FX投資家ならば誰でも知っている月に一度のビッグイベントです。米国の金融政策が分岐点にさしかかっているだけに、発表前後には為替相場が大きく動く可能性が高く、市場参加者の関心も戻ってきそうです。




前回(11月2日発表)のおさらい


10月雇用統計(11月2日発表)では、非農業部門雇用者数が市場予想の19.3万人を大幅に上回る25.0万人増となりました。冴えない結果であった前回分が更に下方修正されたものの、直近3ヶ月平均は20万人を上回る水準を維持しています。注目されていた平均時給(前年比)は3.1%と市場予想の同3.2%に僅かながら届きませんでしたが、約9年半ぶりの水準である3%台を回復しました。なお平均時給(前月比)や失業率については市場予想に一致する結果となりました。総じて強い結果を受けドル円は発表直後こそ20銭程度の上昇幅と、それほど大きい動きとはなりませんでしたが、雇用統計の好結果はドル円の下支えとなり、翌週からの底堅い値動きにつながりました。
[前回発表前後の米ドル/円の動き]
出所:上田ハーロー, Bloomberg
今回(12月7日発表)の見どころ


■雇用者数が予想通り減速しても悪材料とは認識されにくい?
今回の市場予想は20万人程度増と、前回結果から比べると減少する見込みとなっています。11月に発表された週次の新規失業保険申請件数は増加傾向が続いており、雇用者数については前月のような強い伸びには期待しにくくなっています。ただ、新規失業保険申請件数には転職活動中の労働者も含まれており、売り手市場と言われる中で好条件を求めて自発的失業となる人々も少なからずいると思われ、件数増加が必ずしも景気の悪化を示すものでは無いでしょう。完全雇用状態と言われる中、雇用者数の増加が鈍くとも景気悪化への連想には繋がりにくいと思われます。


■平均時給(前年比)が今月も3%台となるかに注目したい
前回10月の雇用統計では平均時給(前年比)が大台の3%を回復しました。しかし昨年10月の賃金状況を確認すると9月が26.51ドルであったことに対し、10月が26.47ドル(Bureau of Labor Statisticsより)と平均時給が低下しており、今年10月の平均時給(前年比)が数値の見かけ上、押し上げられたとの解釈もできます。

ただ、昨年10月の平均時給の悪化には大型ハリケーンが相次いで上陸したことによる影響があり、雇用環境が正常ではなかったことが推測されます。その点を考慮すると、自然災害による一時的要因が後退したと思われる昨年11月の数値に対して、3%を超える値が出るかどうかが重要となると考えます。

もし今月も平均時給(前年比)が3%を超えることとなれば、今後の賃金上昇圧力の高まりが意識されるものと考えられます。今後の賃金上昇が見込まれればFRBがインフレ抑制を再認識するのでは、との見方が出てもおかしくないでしょう。もっとも季節要因などに影響を受けやすいデータであるため、直近2ヶ月分の結果で判断を下すのは早計ですが、今後を占う上で今回の結果が3%台を維持できるかどうかに注目したいです。
◆雇用統計の実績と予想
年月 2017
10 11 12
実績
非農業雇用者数変化(万人) 22.7 23.5  9.8 20.7 14.5 21.0 13.8 16.9 ▲3.3 26.1 22.8 14.8
失業率(%) 4.8 4.7 4.5 4.4 4.3 4.3 4.3 4.4 4.2 4.1 4.1 4.1
平均時給[前月比](%) 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.5 0.2 0.5 0.0 0.2 0.3
労働参加率(%) 62.9 63.0 63.0 62.9 62.7 62.8 62.9 62.9 63.1 62.7 62.7 62.7

年月 2018
10 11 12
実績 予想
非農業雇用者数変化(万人) 20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 20.1 13.4 25.0 20.0
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.7
平均時給[前月比](%) 0.3 0.1 0.3 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3 0.2 0.3
労働参加率(%) 62.7 63.0 62.9 62.8 62.7 62.9 62.9 62.7 62.7 62.9 -
今回(12月7日発表)の戦略



【要点】下値が限られているとみて、買目線で挑みたい
◆雇用統計の結果
※表の見方
結果:非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったときは 〇、下回った時は ✖
当日:日足でみて、上昇か下落

先日発表された11月FOMC議事要旨では、参加者のほぼ全員がかなり早期の利上げが妥当である、との見解が確認され12月FOMCでの追加利上げは従来どおり市場で確実視されています。しかしながら市場の目はすでに来年以降の金融政策の行方に移り始めています。そうした中、今後の声明において「さらなる漸進的な利上げ」という文言の変更を検討していると言うことが明らかになりました。また、FRBがインフレ指標として重視するPCEコアデフレータがFRBのインフレ目標値である2%台の推移が続いており、インフレが加速するとの見方は強まっていないと思われます。そのため、市場では来年以降の利上げへの期待感が膨らんでいない状況です。そうしたことから、利上げサイクル停止が意識されはじめており、米長期金利は3%を切る水準まで低下しています。


足元の地合いは前述のように金利先高感の後退や米中通商問題に対する不安感があり、ドル買い意欲は後退気味で、ドル円では113円割れの水準を伺うなど冴えない値動きとなっています。しかし112円台半ばではドル買い意欲も感じられ下値が大きく拡大するといった印象も持ちにくい状況です。今回の雇用統計の結果をもって下値を固められるかどうかに注目でしょう。強めの結果が出揃うことになれば、ドル円は上昇に転じると考えますが発射台が低くなっていることから上方向に一気に動くといった値動きは期待しにくいでしょう。ただ、好結果となれば、市場心理に変化が出て米長期金利の上昇を通じて来週以降底堅い動きに期待ができそうです。現時点では若干弱含んでいるため、下値拡大についても警戒が必要だと考えますが、直近2ヶ月程度のレンジ下限である112円を目処に底堅く推移するものと考えます。




【今後の米国雇用統計発表予定】

・2018年12月7日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  1月4日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  2月1日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  3月8日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  4月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  5月3日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  6月7日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  7月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  8月2日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  9月6日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年10月4日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年11月1日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年12月6日(金)22時30分発表(標準時間)

日時は日本時間です。経済指標発表日時は予告なく変更される場合があります。





【バックナンバー】

【2018年11月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年10月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  9月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  8月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  7月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  6月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  5月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  4月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  3月9日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  2月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  1月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年12月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年11月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略



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