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執筆日時:2018年10月3日 11時00分
米国雇用統計の予想と戦略


10月5日(金)21時30分は米雇用統計。最近では雇用者数から平均時給に関心が移ったようにも見えますが、やはり米国の金融政策に直結するだけに、発表前後には為替相場が動きます。FX投資家ならば誰でも知っている月に一度のビッグイベントを一緒に迎えませんか。


前回(9月7日発表)のおさらい


8月雇用統計(9月7日発表)は、非農業部門雇用者数が市場予想の19.0万人増を上回る20.1万人の増加と僅かながらの強い内容で、注目の平均時給も前年比+2.9%と2009年5月以来の高い伸びを記録し、発表直後にドル円は111.09円まで上昇しましたが、過去2か月分が合計5万人下方修正されたこと(直近3ヶ月平均も20万人を下回る)、失業率は3.9%で改善が示されず、市場のドル買い意欲は後退、111円を挟んで上下10銭程度の小幅な動きに留まりました。
[前回発表前後の米ドル/円の動き]
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出所:上田ハーロー, Bloomberg
今回(10月5日発表)の見どころ


■FRBは来年から再来年にかけて雇用はピークを打つと予想
9月25-26日の米公開市場委員会(FOMC)の見通しでは、失業率の中心傾向(Central tendency)を見ますと、2018年が3.6%-3.7%から3.7%、2019年は3.4%-3.5%から3.4%-3.6%、2020年は3.4%-3.7%から3.4%-3.8%へと微小ながら下方修正されています。この見通しから、多くのメンバーは来年から再来年にかけて雇用がピークを迎えて、徐々に悪化していくと考えているようです。翻って足許を見てみますと、市場では9月の失業率が3.8%へ改善すると予想しています。また、非農業部門雇用者数は+18.4万人が予想の中心値となっています。8月に比べ低めの予想となっていますが、雇用統計集計週の含まれる新規失業保険申請件数は20.4万件に改善、失業保険継続受給者数も164.5万件へと減少していることを鑑みれば、非農業部門雇用者数が20万人を超えていても違和感はなさそうです。


■平均時給は持続的な高い伸びを示す
8月が前年の26.39ドルから27.16ドルへ2.9%の高い伸びを示しました。ほぼ全ての業種で上昇がみられる強い内容です。9月12日公表の米地区連銀報告(ベージュブック)では、労働市場について「全米で引き締まっていると特徴づけられる」としています。また、「建設労働者やトラック運転手、エンジニアなど高いスキルを要する労働者は引き続き不足しており、幾つかの連銀地区は飲食業や小売業など低いスキルの労働者も不足していると報告した」と労働市場の逼迫感が強いことも示されていますので、市場が予想している前年比+2.8%前後の伸びは示されそうです。



今回(10月5日発表)の戦略


雇用統計後のドル高期待を胸にドル買い仕込み


◆雇用統計の実績と予想
年月 2017
10 11 12
実績
非農業雇用者数変化(万人) 22.7 23.5  9.8 20.7 14.5 21.0 13.8 16.9 ▲3.3 26.1 22.8 14.8
失業率(%) 4.8 4.7 4.5 4.4 4.3 4.3 4.3 4.4 4.2 4.1 4.1 4.1
平均時給[前月比](%) 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.5 0.2 0.5 0.0 0.2 0.3
労働参加率(%) 62.9 63.0 63.0 62.9 62.7 62.8 62.9 62.9 63.1 62.7 62.7 62.7

年月 2018
10 11 12
実績 予想
非農業雇用者数変化(万人) 20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 20.1 18.5
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9 3.8
平均時給[前月比](%) 0.3 0.1 0.3 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3
労働参加率(%) 62.7 63.0 62.9 62.8 62.7 62.9 62.9 62.7 -



◆雇用統計の結果
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※表の見方
結果:非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったときは 〇、下回った時は ✖
当日:日足でみて、上昇か下落



米地区連銀報告では、貿易摩擦(関税の引き上げ)による影響を懸念しながらも、労働市場の逼迫感が高まっていることを報告しています。労働参加率が62.7から62.9で頭打ちとなっている中で、高いスキルの労働者のみならず、低いスキルの労働者も逼迫してきていることで、賃金は確実に上昇していそうです。ここ数ヶ月間は、21時30分に雇用統計が発表されても30から40銭の小動きにとどまりましたが、足許の地合いは、ドル円が年初来高値を114.05円まで更新したこと、日米新貿易協議(FFR)は物品貿易協定(TAG)の2国間協議で次年に持ち越されたなどの楽観心理が支配しているため、ドルの上昇が加速する可能性もあり、上の図表の本年4月から7月までの雇用統計後の上昇から、2017年3月以来の115円台を伺うかもしれません。メインシナリオとして、雇用統計前に買い仕込みのストラテジーを考えたいですね。


一方で、シカゴ通貨先物の円の持ち高やドル指数(DXY)の持ち高が増加していることへの警戒が必要です。トランプ米大統領による利上げ牽制やドル高牽制の発言がいつ出てもおかしくはなく、注目指標発表前のツイッターのつぶやき(@realDonaldTrump )にも目を光らせておく必要がありそうです。持ち高が偏っているときは、材料出尽くしとなるケースもあるため、そこそこの強い数字にとどまった場合には、数日から1週間程度の調整につながるかもしれません。日足/一目均衡表/転換線、21日移動平均線のある112円台前半から、55日移動平均線の111円台ミドル付近が押し目の目処と思われます。ここを押し目と捉えるかは、雇用統計の内容次第になります。

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