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執筆日時:2019年7月4日 10時30分
米国雇用統計の予想と戦略


7月5日(金)21時30分は米雇用統計。米中貿易問題の影響からか、米経済指標には弱い結果が続き、前回の雇用統計では雇用者数の急減がネガティブサプライズとなりました。利下げ観測が強まる中、雇用統計で経済の弱さが引き続き示されるかどうかが焦点になっています。雇用統計がドル売りを強める材料となるか否かに注目です。




前回(6月7日発表)のおさらい


非農業部門雇用者数は市場予想(18.0万人)を大幅に下回る7.5万人増と非常に弱い結果となりました。また平均時給(前月比・前年比)も市場予想に届かず、冴えない結果となったことから雇用統計発表直後にドル売りが強まると、108.40円付近から108.00円を割り込む急落となりました。しかしながらその週の安値107.80円を更新することは無く、下値での買い意欲が確認されたことを支えに反発に転じると108円台前半まで回復しました。ただ、雇用統計への反応一巡後は週末ということもあり、徐々に動意を失うと108.10円台で越週することとなりました。
[前回発表前後の米ドル/円の動き]
出所:上田ハーロー, Bloomberg
今回(7月5日発表)の見どころ


■今回は雇用者数の増減に注目が集まる?
前回の雇用統計では雇用者数の増加幅が市場予想を大幅に下回る縮小となりました。雇用者増減の内訳としては、政府部門は前月からマイナス成長となり、民間部門でもレジャー・接客業を除く幅広い業種で前月から減速もしくはマイナス成長となり企業活動の低下が示されています。特に小売業は前月に続き、雇用者数が減少し4ヶ月連続の減少を記録しており、個人消費の落ち込みも懸念されるところです。また、前回の当レポートでも指摘していた、米耐久財受注や製造業PMIなどは今月発表の結果においても弱い結果が続いており、米中貿易問題への懸念が幅広く企業活動を押し下げている状況が続いていることが推測されます。

その米中貿易問題に関して、先月末に行われたG20では米国の対中関税の見送りや華為技術への制裁緩和措置などが表明され、米中貿易問題への懸念がいくらか緩和しました。しかし根本的な解決に至る道筋はいまだ不透明であり、企業や市場での不安感は拭えていないものと考えられます。

そうした懸念が燻る中、企業活動が低下することやインフレの伸び悩みが継続していると、物価の安定と雇用の最大化を責務として掲げるFRBに対して、市場では金融緩和を期待する向きが増加することとなるでしょう。

CME FEDWatchによると、現時点で7月会合での利下げ(2.00%-2.25%)の織り込みは7割程度、9月会合での連続した利下げ(1.75%-2.00%)も5割程度織り込まれている状況となっています。7月会合での利下げ織り込みが大凡進んでおり、問題は9月以降の利下げ観測が強まるかどうかが問題だと考えられます。

その点から、今回の雇用統計では前回の雇用者数の大幅減が一時的なものであったかどうかが重要となりそうです。もし一時的なものではなかった場合、米景気減速が意識されドル売り圧力が更に高まることとなりそうです。なお、今月3日に発表されたADP雇用統計では雇用者数の増加が10.2万人と市場予想(14.0万人)に届かない結果となりました。雇用統計本番においても市場予想からの下振れ結果に警戒が必要でしょう。
◆雇用統計の実績と予想
年月 2018
10 11 12
実績
非農業雇用者数変化(万人) 20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 20.1 13.4 25.0 15.5 31.2
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.7 3.9
平均時給[前月比](%) 0.3 0.1 0.3 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3 0.2 0.2 0.4
労働参加率(%) 62.7 63.0 62.9 62.8 62.7 62.9 62.9 62.7 62.7 62.9 62.9 63.1

年月 2019
10 11 12

実績 予想
非農業雇用者数変化(万人) 30.4 2 19.6 26.3 7.5 16.3      
失業率(%) 4.0 3.8 3.8 3.6 3.6 3.6         
平均時給[前月比](%) 0.1 0.4 0.1 0.2 0.2 0.3
労働参加率(%) 63.2 63.2 63.0 62.8 62.8 -
今回(7月5日発表)の戦略



【要点】今週高値付近を狙って売り!買う場合は短期的な取引で…。
◆雇用統計の結果
※表の見方
結果:非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったときは 〇、下回った時は ✖
当日:日足でみて、上昇か下落

前回の雇用統計では発表直後に108円台を割り込んだものの、週の終値では108円台前半を維持しました。また週末に米国が対メキシコ関税の発動の見送りを表明したことで翌週はギャプアップしてはじまりました。その後は108.80円付近まで上昇しましたが、109円台を回復できず、揉み合いを経て106円台後半まで下値を拡大しています。今週は108.50円付近まで反発しましたが、週半ばには再度107円台まで弱含んでいます。米中通商問題への懸念や米利下げ観測も燻る中ではドル買いに傾くことはできない様子です。ただ、米利下げ観測の高まりは米国株価に対してプラスに働いており、今月3日のダウ平均株価は史上最高値を更新しており、ドル円の下支え要因となっています。

5月末日に109円台を割り込んでからのドル円は108円台後半が天井となっており、上値の重さが意識されやすい状況と言えるでしょう。今週にも上窓を開けましたが、既に窓を閉めており、上昇の勢いは継続しにくいものと思われます。

雇用統計が好結果となった場合には、日足一目均衡表・基準線108.30円付近や今週の高値108.50円付近を上抜けするかに注目です。特に5月初めに下抜けて以降、上値を抑え続けている日足・基準線以上の水準を回復しないことには目先の下落傾向を否定することは難しいと考えられます。同水準付近で上げ渋るようならば、6月11日高値をストップに売りポジションを構築しても良いかもしれません。一方で、弱い結果となる場合には107円台を終値で維持できるかに注目です。6月25日には106.70円台まで下値を拡大しましたが、日足ではヒゲを付けており下値での買い意欲が相応にあることが示され、翌日には大幅反発となっています。今回も107円台を維持する値動きとなれば極短期的に、一旦反発を挟む可能性があるため、短期的なサヤ抜きを狙っても良いかもしれません。




【今後の米国雇用統計発表予定】
  
・2019年  7月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  8月2日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  9月6日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年10月4日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年11月1日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年12月6日(金)22時30分発表(標準時間)

日時は日本時間です。経済指標発表日時は予告なく変更される場合があります。





【バックナンバー】

【2019年  6月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  5月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  4月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  3月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  2月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  1月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年12月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年11月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年10月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  9月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  8月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  7月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  6月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  5月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  4月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  3月9日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  2月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  1月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年12月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年11月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略



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