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執筆日時:2019年5月1日 9時00分
米国雇用統計の予想と戦略


5月3日(金)21時30分は米雇用統計。毎年5月は日本の大型連休中の悩ましいタイミングでの発表となりますが、本邦勢の参加が少ない中で、相場が動く傾向もありますので、指標発表前後には為替相場のチェックをしましょう。このところ雇用統計を受けたドル円の動きは緩慢な印象を受けますが、米経済状況を見通す上で雇用統計の結果が重要な一要素であることは変わりません。また米株式市場や米債券市場などで雇用統計の受け止め方が異なることもあり、雇用統計の結果のみならず広く市場の動きを確認する必要があります。




前回(4月5日発表)のおさらい


非農業部門雇用者数は、市場予想(17.8万人)を上回る19.6万人に改善し2月分も若干ながら上方修正されました。2月雇用統計に続き、弱い結果とはならなかったことは安心感に繋がり発表直後は111.80円付近まで上昇しました。しかしその一方で平均時給(前月比・前年比)はいずれも予想を下回り、伸び悩んだ結果となったことが判明するとドル円は雇用統計発表前の水準まで押し戻されることとなり、その後も方向感は示されることなく111.70円台を中心とした小動きを続けることとなりました。
[前回発表前後の米ドル/円の動き]
出所:上田ハーロー, Bloomberg
今回(5月3日発表)の見どころ


■雇用者数の増加は安心感を与える程度?
2月雇用統計では雇用者数の予想外の落ち込みで米労働市場の伸びに不安感を感じるものとなりましたが、前回3月雇用統計では雇用者数が市場予想以上の伸びを示し、2月雇用統計の結果が一時的なものであることが確認され、米雇用市場減速懸念は一旦後退した格好となりました。今回の市場予想は雇用者数が18.5万人程度増と、前月の結果から見ると減速することとなりますが、直近3ヶ月平均(18.0万人)を上回る水準が見込まれており、予想並みだとしてもネガティブな印象は持たれにくいでしょう。20万人を超える大幅増となれば、結果を好感して発表直後はドル買いが強まりそうですが、このところの雇用統計への反応が鈍くなっていることを考慮すると継続的なドル買い材料にはなりにくいと考えられ、反応一巡後は伸び悩む可能性が高そうです。


■上下どちら結果でも下値拡大に警戒!?
前回の平均時給(前年比)は市場予想に届かなかったものの、3%台を維持しており大きく失望を買う結果とはなりませんでした。昨年10月の雇用統計以来、6ヶ月連続で3%以上の伸びを記録しており、まずは今回の結果で同様の水準を維持できるかどうかに注目でしょう。市場予想(3.3%)に届かずとも3%台を維持できればそれほど悲観的になる必要はなさそうです。ただ足許では米消費者物価の伸び悩みも指摘されており、雇用統計以外のインフレ関連指標の結果も確認する必要があるため、平均時給の好結果のみではドル買いに転じにくいかもしれません。また平均時給に伸びが見られる場合には金利の上昇が見込まれ、株式市場にとっては売り材料として捉えられる可能性があり、株式市場の下落がドル円の重石になる可能性があります。弱い結果はもちろんのこと、予想以上の好結果となる場合にも下落への警戒が必要になりそうです。
◆雇用統計の実績と予想
年月 2018
10 11 12
実績
非農業雇用者数変化(万人) 20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 20.1 13.4 25.0 15.5 31.2
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.7 3.9
平均時給[前月比](%) 0.3 0.1 0.3 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3 0.2 0.2 0.4
労働参加率(%) 62.7 63.0 62.9 62.8 62.7 62.9 62.9 62.7 62.7 62.9 62.9 63.1

年月 2019
10 11 12

実績 予想
非農業雇用者数変化(万人) 30.4 2 19.6 18.5          
失業率(%) 4.0 3.8 3.8 3.8               
平均時給[前月比](%) 0.1 0.4 0.1 0.3
労働参加率(%) 63.2 63.2 63.0 -
今回(5月3日発表)の戦略



【要点】基本は戻り売り!下落の場合はサポートが機能すれば押し目買い!
◆雇用統計の結果
※表の見方
結果:非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったときは 〇、下回った時は ✖
当日:日足でみて、上昇か下落

前回の雇用統計では、雇用者数の回復が好感され発表直後こそ上昇したものの、ドル円は112円には届かず、その後は軟調推移となり上値の重さが再確認された格好となりました。雇用統計の翌週には英EU離脱に関するEU緊急首脳会議への警戒感からリスク回避の動きが先行し、米長期金利の低下などを背景に111円割れの水準まで下値を拡大しました。しかしその週後半には、米新規失業保険申請件数が約半世紀ぶりの低水準となったことを始め経済指標に堅調な結果が続いたことや、中国貿易統計が市場予想を大きく上回る結果となり米中貿易問題に対する懸念が緩和されたことなどから市場のリスクマインドが改善し112円台まで上昇しました。その後年初来高値を更新し112.38円まで上伸しましたが、米国株価の下落や日本の連休を前に持ち高を整理する動きなどによる売りに伸び悩んでいます。現在ドル円は111円台前半まで下落しており、年初来高値を更新したわりには買いが続かず冴えない展開が続いています。直近のシカゴIMM非商業ポジションにおいて、円ショートポジションが昨年12月頃と同等の水準まで増加しており、円売りの余地が狭まってきていることも円売りの動きを抑制している一因かもしれません。冴えない展開を維持して雇用統計を迎える場合、まずは予想を下回る結果とならないかどうかに注目でしょう。このところのドル円相場は、雇用統計への反応が鈍い状況ですが、雇用統計が弱い結果となれば堅調な推移を続ける米株式市場の重石となる可能性があり、株式市場の下落を通じてドル円相場には下押し圧力が掛かることとなりそうです。下落した場合、4月の安値圏である110.80円近辺で下げ止まるかどうかがまずポイントとなるでしょう。同水準で下げ止まる場合は押し目買いを考えて良いかもしれません。しかし簡単に下抜けてしまうようであれば日足一目均衡表・雲下限の位置する110.30円や110.00円までの下落が視野に入ることとなりそうで、値ごろ感での買いは控えたいところです。一方で好結果となる場合ですが、FRBの利上げ観測が再浮上するような強い結果とならない限り、戻り売りスタンスを基本戦術としたいです。




【今後の米国雇用統計発表予定】
 
・2019年  5月3日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  6月7日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  7月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  8月2日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  9月6日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年10月4日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年11月1日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年12月6日(金)22時30分発表(標準時間)

日時は日本時間です。経済指標発表日時は予告なく変更される場合があります。





【バックナンバー】

【2019年  4月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  3月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  2月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  1月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年12月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年11月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年10月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  9月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  8月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  7月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  6月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  5月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  4月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  3月9日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  2月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  1月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年12月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年11月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略



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