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執筆日時:2019年4月4日 12時50分
米国雇用統計の予想と戦略


4月5日(金)21時30分は米雇用統計。米雇用統計と言えば、FX投資家ならば誰でも知っている月に一度のビッグイベントです。FRBが利上げサイクル停止に傾き、市場では利下げについても意識され始めています。利下げが意識されることで経済指標を確認する視点も変わってくると考えられますが、経済状態の良し悪しは今後も重要な要素の一つであることは変わりなく、雇用統計も変わらず注目されそうです。なお、米国はサマータイムに移行しているため、日本時間で雇用統計の発表が先月より一時間前倒しとなります。




前回(3月8日発表)のおさらい


非農業部門雇用者数は、市場予想の前月比18万人増を大きく下回る同2万人増と非常に弱い結果となりました。その一方、その他の項目は概ね堅調で失業率は前月から改善し、平均時給(前月比/前年比)は予想を上回る伸びを示しました。雇用者数の急減速を受け、ファーストアクションはドル売りとなり、ドル円では約30銭の下落となりました。その後は時間経過と共に雇用者数以外の項目の好結果が評価され111円台を回復しましたが、111円台前半で頭の重い推移が続いたままNYクローズを迎えました。
[前回発表前後の米ドル/円の動き]
出所:上田ハーロー, Bloomberg
今回(4月5日発表)の見どころ


■雇用者数は過去の例から反動増に期待?
前回の雇用者数は前月から急減し前月比2万人増と、2017年9月以来の低い伸びとなりました。雇用者数増減の内訳を確認すると特に建設業や輸送業、レジャー産業などの天候に左右されやすいとされる産業で雇用者数の落ち込みが激しく、前月比でマイナスを記録しています。アメリカでは1月末から2月にかけて記録的な寒波が到来したこともあり、悪天候で経済活動が鈍ったことが指摘されています。そのため、雇用者数の減速は一時的なものであると考えられ、今回の雇用者数の結果がそうした見方を肯定するものとなるか注目されそうです。なお、雇用者数の増加が年間平均20万人を安定して突破し始めた2014年から雇用者数の推移を確認すると、前月比で増加数が10万人を下回った例は4回あり、その翌月の結果は例外なく20万人を越える反動増となっています。またそのうち3回は25万人以上の増加を記録しています。事例が少なく根拠に欠ける面もありますが、過去の傾向的には今回も反動増に期待できるのではないでしょうか。


■平均時給の上昇だけでは物足りないか
2月雇用統計において平均時給(前年比)では3.4%増と2009年4月以来の非常に高い伸びを記録しました。先月までで5ヶ月連続で3%台での推移が続いており、賃金上昇圧力の強さが伺えます。しかしそうした中、FRBが注視する個人消費支出の伸びは依然として鈍くFRBの目標とする前年比2%を回復できていない状態が続いています。また先日発表された米消費者物価指数(前年比)は予想を下回る結果で、昨年12月に2%台を下回ってから前月の結果を下回る推移が続いており、賃金の上昇が物価上昇に繋がっていない様子です。FRBは利上げを見送る姿勢の理由の一つに、物価の高まりが見られないことを挙げています。FRBがハト派に転換したこともあり、賃金上昇圧力の高まりだけでは市場での利上げへの期待感が以前ほど盛り上がりにくくなってきていると考えられます。もちろん強い数字であればドル買いのきっかけになると思われますが、継続的なドル買い材料にはなりにくいかもしれません。
◆雇用統計の実績と予想
年月 2018
10 11 12
実績
非農業雇用者数変化(万人) 20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 20.1 13.4 25.0 15.5 31.2
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.7 3.9
平均時給[前月比](%) 0.3 0.1 0.3 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3 0.2 0.2 0.4
労働参加率(%) 62.7 63.0 62.9 62.8 62.7 62.9 62.9 62.7 62.7 62.9 62.9 63.1

年月 2019
10 11 12
実績
予想
非農業雇用者数変化(万人) 30.4 2 17.8            
失業率(%) 4.0 3.8 3.8                  
平均時給[前月比](%) 0.1 0.4 0.2
労働参加率(%) 63.2 63.2 -
今回(4月5日発表)の戦略



【要点】112円前半を超えない限り売り目線継続!
◆雇用統計の結果
※表の見方
結果:非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったときは 〇、下回った時は ✖
当日:日足でみて、上昇か下落

前回の雇用統計前には112円を回復する場面があったものの、雇用者数の急減というネガティブインパクトのある雇用統計の結果を受け、その後はドル売りが先行し軟調な展開となりました。また3月のFOMCではFRBの利上げ見通しにおいて2019年が0回であることが示されたほか、景気後退の予兆と言われる長短金利の逆転が米国債市場で発生したことなどを背景にドル円は一時109円半ばまで下落しました。現時点では、米国や中国の製造業景気指数が上向いたことや米中通商協議の進展期待を背景に株式市場が上昇、米長期金利も2.5%台を回復し米長短金利逆転は解消されています。にわかにリスクオンムードが漂う中、ドル円は111.50円台まで回復しており112円が視界に入っている状況です。今回の雇用統計がドル買いを後押しする内容となるかに注目が集まります。前回の雇用統計において雇用者数の急減が目立ったことから、雇用者数の鈍化が一時的なものなのかどうかが、まずは重要になりそうです。しかしながら前哨戦と言われるADP雇用統計では市場予想に届かず、雇用環境に弱さが見られており雇用統計においても、雇用者数の大幅増には期待が薄いかもしれません。予想並みの結果となれば安心感が生まれドル買いに傾くと考えられますが、ある程度反動増となることが見込まれていることを考えると、それだけでは継続的なドル買い材料にはなりにくいでしょう。ドルの上昇には雇用者数の改善のほか、平均時給や失業率も前月のように強めの数字が並ぶことが求められそうです。
今回も112円付近での値動きが鍵となりそうで、112円台を回復した場合でも112円台前半年初来高値の112.12円[3月5日]付近や昨年11月から12月の揉み合い相場の下限となっている112.25円付近で頭を抑えられる場合は売り目線で良いと考えます。112円台で頭の重さが再度意識されれば110円台への弱含みにも期待できそうです。一方、前述の水準を上抜けた場合でも112.50円からは戻り売り圧力も強まると考えられ、すぐに追随買いに切り替えるには注意が必要でしょう。




【今後の米国雇用統計発表予定】
 
・2019年  4月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  5月3日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  6月7日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  7月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  8月2日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  9月6日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年10月4日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年11月1日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年12月6日(金)22時30分発表(標準時間)

日時は日本時間です。経済指標発表日時は予告なく変更される場合があります。





【バックナンバー】

【2019年  3月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  2月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2019年  1月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年12月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年11月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年10月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  9月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  8月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  7月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  6月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  5月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  4月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  3月9日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  2月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  1月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年12月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年11月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略



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