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執筆日時:2019年1月31日 16時00分
米国雇用統計の予想と戦略


2月1日(金)22時30分は米雇用統計。米雇用統計と言えば、FX投資家ならば誰でも知っている月に一度のビッグイベントです。米国の金融政策が分岐点にさしかかっているだけに、発表前後には為替相場が大きく動く可能性が高いです。今年1月はじめの暴落後は108円台から109円台での狭いレンジでの推移が続いており、雇用統計をきっかけに相場が動きはじめるかどうかに注目となるでしょう。




前回(1月4日発表)のおさらい


非農業者部門雇用者数が予想の17.7万人増を大きく上回る31.2万人増となり、前月分についても2万人程度上方修正され強い結果となりました。また、注目度の高い平均時給は前月比が0.4%上昇・前年比が3.2%の上昇と、共に市場予想を上回り賃金上昇圧力が継続していることが示されました。失業率は若干悪化したものの、労働参加率が17年9月以来の高水準である63.1%に上昇しました。こうした好結果を受けてドル円相場は発表直後に上昇しましたが、前日にドル円が暴落した余韻も残っており、発表直後の上昇は長く続きませんでした。その後、パウエルFRB議長の利上げ休止を示唆する発言などによりダウ平均株価が上昇、ドル買いも強まり108円半ばを維持して越週することとなりました。
[前回発表前後の米ドル/円の動き]
出所:上田ハーロー, Bloomberg
今回(2月1日発表)の見どころ


■雇用者数の減少はある程度織り込み済みも、さらなる下振れには要注意
今回の非農業部門雇用者数は16万人増と、前回の31.2万人増という好結果からは大きく減速すると市場は予想しています。12月の非農業部門雇用者数の増加の背景には年末商戦の影響が残る小売業や娯楽・宿泊業などに11月から連続した雇用の伸びが見られ、季節的な要因に依る部分もあったものと考えられます。今回は季節要因が剥がれることとなり、加えて12月末から続いた米政府機関閉鎖に依る悪影響も指摘されています。そうしたことからある程度の減少は想定の範囲内で、市場予想に近い数字となれば特段悪い結果とも言い難いでしょう。
また、今回の市場予想値である前月比16万人増の見方を変えると、12月非農業部門雇用者数の実数が約1.5億人であることから0.1%を超える増加となった、と置き換えることが出来ます。もし今回雇用者数の増加が15万人を下回る場合は、前月からの増加率が0.1%を下回るため注意が必要かもしれません。昨年1年間で前月からの増加率が0.1%を下回ったのは、ハリケーンによる悪影響が現れたとされる昨年9月雇用統計のみとなります。政府機関閉鎖は暫定予算により一時的に解除されていますが、仮に雇用を押し下げていたとすると、再度の政府機関閉鎖への懸念から市場がネガティブに捉えるのではと考えます。


■市場予想通りであれば上昇は一時的か
今回の平均時給(前月比)は0.3%増の市場予想で、雇用者数同様に前月結果(0.4%増)から減速する見込みです。過去10年間において2ヶ月連続で0.4%増となったことは前例がありません。他方、金額ベースで表すと今回の市場予想は前月比約8セントの増加、12月結果は前月比約11セントの増加となります。今回、平均時給(前月比)が0.4%増となるには金額ベースで前月同様に約11セントの増加が必要となります。金額ベースにおいても10セント以上の増加は過去10年間において2ヶ月連続したことはありません。そのため今回は市場予想並の結果に落ち着くものと推測します。しかしながら、市場予想通りの結果となる場合でも平均時給(前年比)では3.2%と強い伸びを示すこととなり労働市場の力強さが示唆されます。ただ、やはり外部環境に不安要素も多く、直ちに市場の2019年の金利見通しが大きく変化するとも考えにくいです。市場予想通りの結果を受けドル買いに傾いても継続性は無いかもしれません。
◆雇用統計の実績と予想
年月 2018
10 11 12
実績
非農業雇用者数変化(万人) 20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 20.1 13.4 25.0 15.5 31.2
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.7 3.9
平均時給[前月比](%) 0.3 0.1 0.3 0.1 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3 0.2 0.2 0.4
労働参加率(%) 62.7 63.0 62.9 62.8 62.7 62.9 62.9 62.7 62.7 62.9 62.9 63.1

年月 2019
10 11 12
予想
非農業雇用者数変化(万人) 16.0                
失業率(%) 3.9                        
平均時給[前月比](%) 0.3
労働参加率(%) -
今回(2月1日発表)の戦略



【要点】楽観的な材料があまり見当たらないため、戻り売り目線!
◆雇用統計の結果
※表の見方
結果:非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったときは 〇、下回った時は ✖
当日:日足でみて、上昇か下落

年始早々の急激な円高に対する反応は今月半ばには落ち着き、ドル円は109円台を回復しましたが、その後は大台の110円を天井に狭いレンジでの揺れ動きが続いています。昨年末から続いた米政府機関閉鎖や、米中通商問題に対する不透明感で上値が重い一方で、今月17日に109円台を回復したあとは、109円を割り込んでも下値では相応の買い意欲の強さも伺える状況となっています。政府機関閉鎖の影響を受け複数の米経済指標の発表が延期になるなど材料不足であることも、直近の方向感のない値動きの一因でしょう。今回の雇用統計は、FOMCや米中通商協議を経て今週のトリを飾ることとなります。前述のイベント次第で雇用統計の結果の受け止め方が変わることになりそうですが、雇用統計を消化し方向感が示されるかどうかに注目したいです。

他方で、今月中頃から米企業決算が本格化してきていますが、既に複数の米大手企業の決算において中国市場での収益悪化による業績の下振れが確認されており、米中貿易摩擦による米企業への負の影響が現れてきています。今後の決算発表においても中国市場に比重を置く企業の業績は下振れが予想されており、ダウンサイドリスクが意識されやすそうです。そのほか年内利上げへの期待感がほぼ消滅、足許に広がる種々のリスク要因から現時点ではやはりドル安に傾きやすい地合いであると考えられ、ドル円は比較的下方向に動きやすいものと予想しますが、今月初旬のドル急落によるポジション調整が進んだと推測するに追随売りは危険だと考えますので、先月同様戻り売りが基本戦略となりそうです。




【今後の米国雇用統計発表予定】

・2019年  2月1日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  3月8日(金)22時30分発表(標準時間)
・2019年  4月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  5月3日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  6月7日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  7月5日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  8月2日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年  9月6日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年10月4日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年11月1日(金)21時30分発表(サマータイム)
・2019年12月6日(金)22時30分発表(標準時間)

日時は日本時間です。経済指標発表日時は予告なく変更される場合があります。





【バックナンバー】

【2019年  1月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年12月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年11月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年10月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  9月7日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  8月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  7月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  6月1日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  5月4日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  4月6日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  3月9日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  2月2日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2018年  1月5日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年12月8日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略

【2017年11月3日(金)発表】米国雇用統計の予想と戦略



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